[14] 彼に映える血色 

2006/6/25 (Sun.) 02:07:27

 

ボスが血に濡れた手で普段に比べれば格段に優しく頬を撫でてキスをくれた。

そのまま血溜まりに押し倒されて、殺戮の興奮が冷め遣らぬままに獣のような交わりを始めるのだと想像がついたから、スクアーロは腕を伸ばして男の肩にまわしてやる。

 

「なぁ」

 

発した声に向けられた赤い宝石みたいな目にうっとりとする。

どこかのバカが薄汚れた血の色だなんて嘯いていたが、目が悪いんだろうといっそ哀れに思う。

なによりもキレイなあんたの目玉。

 

どうしてだろうなぁ

たまにだけど、あんたは血に塗れた時だけは髪を汚しても怒らない

 

それがなぜかなんて、どうでもいいことなんだろうけど

 

 

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ボスはスクが汚れると怒るけど、それが浴びたばっかりの血だったりとかすると時々いきなり欲情して襲い掛かります

血が映えてなによりもキレイに見えるし、自分の目の色だから自分の物だって感じがして満足

でも気分によって汚いってすげー不機嫌になったりも

理不尽なボス

 

 

 

[15] 恋をしている

2006/6/25 (Sun.) 03:01:07

 

「スクアーロ、キスしましょうか」

「あ゙ぁ?喧嘩うってんのか、ルッスーリア」

「ん〜、なんとなくそんな気になったのよ、だってあんまり可愛いんですもの」

まるっきり子猫が可愛いから頬擦りしてキスしたいっていう女子供のノリの同僚にあきれてまあいいかと言いかけたオレに、ルッスーリアは

がもう一度言った。

「スクアーロ、キスしましょうか」

それで思い出した、随分昔に別れた女。

 

「スクアーロ、キスしましょうか」

「あ?」

「それでお別れしましょ」

「…なんか不満だったか?」

「そうね。確かにあなたは口が悪いし乱暴だし部屋も掃除しないしむしろ散らかすばっかりで、マフィアで任務だなんだって約束もすっぽかすし」

「……」

「でも、普段もSEXの時も優しかったし私を大切にしてれて、妙にご飯を作るの上手かったりしていい男よ」

「……ならなんでだぁ…」

「だって貴方、私を見ていないんですもの」

「…」

「どんなに優しくしてくれても、あなたは私を見てないもの」

「チェルシー」

「だから別かれましょ?私、自分だけが恋愛してるの嫌いなの。お互いが恋をしてなくちゃいやよ」

「オレはお前が好きだぜぇ」

「でも恋でも愛でもないでしょ?私がみっともなく泣き喚いて取りすがって懇願するようになる前に、キレイに別れさせて?」

「………わかった」

「ありがと、スクアーロ。あなたのそおゆう所も好きだったわ」

情熱的な恋人達が交わすような濃密なキスして、離れた女はオレが見惚れた大輪の花の様な顔で微笑んだ。

「ねぇスクアーロ。もう恋をした人意外とキスしちゃ駄目よ?これは特別な事だから」

 

そういった女は、泣いていた。

 

「スクアーロ?ちょっと、どうしたのよ」

「あぁ…わりぃ、ルッス。キスは恋した相手としかしねぇって決めてんだぁ」

「あら。残念だけど、素敵な事ね」

そう言って歪だがキレイに笑った男が、とても好きだ。

たぶん、あの女と同じように。

それは確かに恋でも愛でもないから、あの女に悪い事をしていたと今更ながらに思う。

「じゃあな、ボスに呼ばれてんだ」

「いってらっしゃい」

ルッスーリアに見送られて、ボスのところへ向かう足が、途中から駆けていた。

女の言葉を思い出したら、キスがしたくてたまらなくなった。

ボスの顔を見たら、きっと殴られるだろうけど、そのまま飛びついて噛み付いてやろう。

 

たぶんきっと、これは恋だから

 

 

 

[16] 無題

2006/7/18 (Tue.) 23:39:38

 

昔その腕は自分のものだった

その胸は自分のものだった

手の中からすり抜けていったそれを取り返そうとして、なにが悪い

 

「ザンザス」

振り返った真っ赤な虹彩に、老人は哀れみの吐息を零した。

「もうやめなさい。子供の頃には、どうあがいても戻れはしないのだから」

「はっ!知ったことか!!」

 

戻れない?

 

戻れない?

 

そんな事あるはずがない

 

見ろよ

 

あの銀の髪はあの頃と変わらず俺の手が握り締めていて

 

あの銀の瞳は俺を見詰めている

 

ただ其処にあった、優しいぬくもりが失せてしまっただけで

 

 

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鮫さんは下っ端の頃、ボスの子守りってか世話役

腕がよかったのとお馬鹿でへましたので、ヴァリアーに流れていったということで

昔そばにいた思い人を取り戻したくて裏目裏目を出してるボス

(ちゃんと書けよ)

 

 

 

[17] それさえあれば私は生きていける

2006/11/6 (Mon.) 21:11:12

 

愛はいらねぇ

恋も要らねぇ

優しさなんて反吐が出る

 

ただただ

 

お前がいて俺がいて

お前が俺をその赤に映すだけでいい

 

それ以外に必要な事なんて何も無い

 

だからそれでいい、これでいい

 

理不尽なまでに感情をぶつけろよ

 

おれはお前の道具で

お前のために存在する

 

なぁ、だから

 

いつかこの命が終わるその日にも

ただただ変わらずに生きていて

 

 

 

[20] ディーノとスクアーロ

2006/11/17 (Fri.) 02:09:04

 

スクアーロは世話好きだ。

 

例えばディーノが四苦八苦して結んだみっともない仕上がりのネクタイをその固い剣だこだらけの骨ばった手でもって結びなおしてくれるし、寝癖で盛大に爆発した髪も梳いて整えてくれる。

彼はじつの所、身だしなみや規則に煩く、ディーノより余程きちんと校則を守って生活していた。

スクアーロ曰く、「だらしないのが見てて許せねぇだけだぁ」そうだ。

それにしてもいかにも手馴れた仕草で他人の日常生活の面倒を見るのに感心して告げれば、一緒に暮らしている叔父が自堕落な人間でな、必然的に覚えたらしい事を教えてもらった。

毎朝叔父のネクタイも締めてやっているそうだ。

それって何処の新妻?とか思ったが口にはしなかったのは正解だろう。

 

スクアーロは今日も今日とてみっともないよれよれの姿で登校したディーノを馬鹿に仕切った顔と言葉でけなしながら、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるだろう。

 

 

 

[24] 122妄想その@

2006/11/20 (Mon.) 22:58:25

 

ゆるゆると、硬く、冷たい金属の表面をなでる。

まるで男本人にするかのように。

 

「あんたと最後に触れ合ったのは、どれくらいまえだっけなぁ」

 

答えの返らない無機質なそれに頬を押しつければ、己の髪がざらりと垂れ広がり、丸みを帯び機械の表面を隠すように覆った。

 

「もう、こんなに伸びたんだぜぇ?」

 

自慢するかのように、見せ付けるかのように、金属とは違う銀色を引っ張ってみせる。

 

あぁ、早く早く、あんたに会いたい

 

あの日よりもっとずっと強くなった

 

きっと誰よりあんたの役に立てる

 

あの頃より、ずっとずっと

 

 

「あんたが、恋しい」

 

 

顔すら見せぬ薄情な眠り姫へと口付けて、長い銀色の髪を翻し、ラプンツェルは静かな稼動音が響く部屋を後にした。

 

 

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ネタバレをよんで考える

誓いの日のスクは14、5

これプラス8で現在22、3

そしてボスはコールドスリープで年をとってないから、8年前も現在と変わらない…

スクを拾って育てたのがボスでもありじゃね!?

ちゅー訳で眠り続けるパパ兼ボスの為にひたすら強くなったスク

早くパパに会いたくて誉めてほしくてたまりません(レヴィかよ)

んでもって目を覚ましたパパボスはあのかわい子ちゃんがいきなり美人になって て多いに戸惑ってつらくあたっちゃうのさ

寂しげに見つめるスクにいたたまれずに殴ったり勢いでやっちゃったり

これが二人のぎこちなさの正体でファイルアンサー!

 

 

 

[25] 122妄想そのA

2006/11/20 (Mon.) 23:04:55

 

部屋の隅、壁に背を押しつけて剣を抱えてうずくまった少年は、静かに開けられた扉から入ってきた数人の影にも反応をせず、じっと押し黙っていた。

「スクアーロ」

その子供に、先頭に立っていた初老の男が呼びかけた。

「あの子は眠ったよ。君には、自由に会う権利をあげよう」

どこか哀しみをまぜた疲れた声に、少年はその名に相応しく、ギラギラと獰猛に輝く目を銀糸の合間から男へと向けた。

「なんでだぁ」

ゆらりと剣を片手に立ち上がった少年の左手首は、包帯をぐるぐるにまかれて滑稽なほど膨れ上がり、代わりのようにその先が存在しなかった。

その完治しない負傷の為においていかれた少年は、その溜まりにたまった憤懣を全身で咆哮し、叩きつけた。

「中途半端に愛すくらいなら愛すなよ!愛するんだったら全力で守れぇ!ファミリーだなんだって言い訳がましいことするなぁっ!!」

顔を真っ赤に染めて怒鳴った言葉は、目の前の男へと向けられたものであると同時に、少年を置いていった男へと向けられたものでもあった。

「君はー」

男は自分の息子が拾ってきた少年をじっと悲しげに見つめ、ため息のように疲れきった言葉を吐き出した。

「君は、傲慢な子だね・・・」

残酷なほど少年は正しく、ずるさを身につけた大人にとってその純粋さは傲慢にすら映った。

だが少年もいずれは知るだろう。大人の醜さを。

「それとも、君はそのまま育つのかね。あの子の愛したその一途さのままに」

そう言って、男は苛烈な眼差しを送る少年に背を向けて、来たときと同様、静かに帰っていった。

 

 

スクアーロという名はザンザスに拾われた時にもらった。

 

その獰猛さと貪欲さによって。

 

 

スペルビという名はドン・ボンゴレよりヴァリアーに入隊する時に送られた。

 

その純粋なまでの一途な傲慢によって。

 

 

銀色の髪をなびかせ、血の雨を降らせる彼が冠する二つの名は、どちらも偉大な男より授けられたものだった―――

 

 

 

[27] XS←D

2006/11/25 (Sat.) 21:31:08

 

 

それを見たときの絶望を、君は知らない

 

 

見慣れた薄い姿が廊下の壁に隠れるのを目撃して、いつもの通り何も考えずに追いかける。

 

「スクアーロ」

 

声に出そうとした名前は、永遠に行き場を失って腹の中に呑み込まれた。

 

見たことのない顔。

 

誇らしげに、優しく、皮肉と親しさを混ぜ合わせて翳り無く笑う。

伸ばされた手が、その短い銀髪を引っ張るのを許容して、近付く相手の口唇を受け止める。

 

なぁ、

 

あの瞬間の絶望を君は知らない。

 

 

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最近DSブームです…

何故だろう?

 

てか、スクを助けたディノは、スクの髪を無理やり切ってると思う

ザンザスのために伸ばした髪なんて、いらない

鬼畜ディノ万歳

 

 

 

[32] 8年の間に気付いた事がある

2007/3/9 (Fri.) 20:52:13

 

記憶をひとつひとつ手繰り、辿る。

なんどもなんども繰り返し繰り返し毎日毎日、食べるとき話すとき寝るとき抱きしめる、とき

でも本当は手繰るまでもなく自然と浮き出てくるその時の光景や彼の言葉

それ、が。年を追うたびにもしかしたら、という恐怖を連れてくるのだ

もしかした、ら

あの男を追い詰めたのは自分かもしれないと歳を経て様々な経験をした今になって繰り返し見る残像に危惧を抱く

ただただ前だけを見てわき目もふらずに駆けていたあの頃

気付かなかったあの男の不安、懐疑、恐怖、sの他様々な負の感情

男の発していたシグナル

それらを見落として男をただただ我武者羅に求めて突きつけて己の理想を押し付けて追い詰めたのは、そう

ひょっとしたら己かもしれないと気付いた瞬間、後悔ではなく、でもそれに似た何かに泣き叫んだ

ああ、愛しい男

誰よりも何よりも求めて焦がれて焼き尽くされる事すらも望むあの男

その炎に撒かれることこそが己にとっての幸福なのに

 

あんたの幸福は、そこには無かった

 

 

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ボスの幸せを考えると、スクの幸せは実はなくなるんじゃないかという話

 

 

 

[34] ヴァリアーは家族なんだよということで

2007/3/10 (Sat.) 20:06:39

 

マーモンは母を知らない。

いや、自分を産んだ母胎ならば知っているから、母親のぬくもりと言うものを知らないというのが正しいのだが。

けれどこれがそれに近いものであるということはわかる。

固く固く骨ばって、でも暖かくむず痒い。

スクアーロの腕(かいな)で眠るその時がマーモンは好きだ。

だから今日も彼の寝室を訪ねて、まるで普通の子供のように強請るのだ。

細く固い冷たい金属の手と温かな生身の手とに抱き上げられて、先客の王子さまの隣にその手の主と一緒に潜り込む。

とくとくと規則正しい鼓動を刻む胸の上に腹ばいになって優しい腕に抱きしめられて眠る。

そのまま眠りの世界に滑り込みながら

ああ、今晩はボスがいないなとぼんやりと思った。

 

 

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ボスは残業中。仕事が終わったらシャワーを浴びてごそごそとベットの中に潜り込んでくるよ。

スクの左右が王子とボス、胸の上がマーモンの定位置。

ちなみにこれは八年前。(いや、まあベルは本来ならいないだろうけど)

ヴァリアー入隊したての例の半年の間。

最初はボスとだけ寝てた。けど、任務帰り血塗れのベルを発見した世話焼きスクが風呂に入れたげて、体冷えるから布団もぐってろと王子をベットに押し込んでスクもシャワーから上がってきたら対峙してる王子とボス(いつも通り寝に来た、ボスは鮫がいないと安眠できない)。そのまま有無を言わさずボスも引きずり込んで一緒に就寝。以来ベルも寝にくるようになりました。

さらに少しして、マーモンと任務が一緒になったスクが任務帰りで眠そうなマモを部屋に連れ帰ってそのままなし崩し的に4人で眠るように。

マモは最初それは戸惑いました。